ぼかし表現を使えるようにしよう

まず、下の文を見てみて下さい。

1. I really don’t like my boss.
2. I don’t really like my boss.

この二つの文の違いは分かるでしょうか?

上の文は、「私、ほんっとにうちの上司が好きじゃないんだよね」って感じです。
下の文は、「私、うちの上司の事、あんまり好きってわけじゃないんだよね」って感じです。

どうですか?

上の文は、もう、ばっさり切り捨ててる感満載ですが、下の文は、どっかぼかしてますよね。

この二つの文を文法では、上が完全否定、下を部分否定というんですが、そんな文法用語よりも大事な事があります。

一つは、単語のちょっとした位置で「意味が全然違う=誤解と混乱の元凶」って事! しっかり使い分けないと大変な事になってしまうし、相手の言っている事も、誤解しかねません。

それからもう一つは、「ちょっとぼかす態度も押さえておきたい」って事。 なんでも、はっきり言えばいいってもんじゃない、ちょっとぼかした方がいい場面って必ずあるじゃないですか。 例えば、以下のような場面です。

A君:I saw Yugo at a station yesterday, and he was with a girl!
(昨日駅でユウゴを見かけたんだけど、女の子と一緒だったぜ!)

B君:Wow!Then, was she attractive?
(へぇ!それで、魅力的な子だった?)

A君:To tell the truth, she is not very beautiful but charming.
(はっきり言って、すごい美人ってわけじゃないけど、魅力的ではあったよ)

attractiveは外見も含めて魅力的という意味。charmingはもっと雰囲気重視です。

こんな場面で、「美人じゃなかった」とか「ブスだった」なんていうより、「すっごい美人ってわけじゃない」くらいにぼかしたいときもあるはずです。

「あんまり~じゃない」とか「すっごい~ってわけじゃない」とか。 会話のときに欠かせない「完全否定」と「部分否定」をマスターしていきましょう。

「not」や「no」の意味

さて、いきなり今回の肝をお話します。 よーく聞いて(読んで)くださいね。

否定で使われる「not」や「no」が否定するのは、基本的に「not」や「no」の後の部分

それでは冒頭の例文をもう一度見てください。

1.では、「really」が「not」の前に来ています。 そのため、「really」は打ち消されません。

否定される部分は、「like my boss=ボスが好き」って部分だけ。 すなわち、「私、本当に(こっから先が否定)ボスの事が好きじゃない」になります。

一方、2.では「not」の後に「really」が来ています。 そのため、「really」以下が否定されます。

つまり、「really like my boss=本当にボスが好き」が否定され、「本当にボスが好きってわけじゃない(あんまり好きじゃない)」となります。

1.が完全否定、2.が部分否定といいます。 あとは、最初にもいいましたが、完全否定と部分否定では気持ちの入れ方が違います。

「not」の後に、強調の言葉(really, very, so, trueなど)が入ると、部分否定文となり、控えめな否定の表現になる

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「any」や「all」を使った表現

ここからは、よく使われる完全否定と部分否定の表現を見ていきましょう。

3. I don’t like any reptiles.
(私は、あらゆる爬虫類が好きじゃない)

4. I don’t like all reptiles.
(私は、あらゆる爬虫類が好きってわけじゃない)

上の例文の違いはわかりましたでしょうか? 『「not」は、その後に続く部分を否定する』を思い出してください。

まずは、3.から見ていきましょう。 「any」は「どんな~でも」と選択肢を与える言葉です。 その「any」を否定するわけですから「どんな~も駄目」となり完全否定。

次に、4.を見てください。 「all」 は「全て」です。その「all」が否定されるので「全てが~ってわけじゃない」となり部分否定。

尚、3.「I don’t like any reptiles.」は「I like none of reptiles.」と書き換えられます。
(爬虫類で好きな物はない=全部の爬虫類が好きじゃない)

完全否定「not~any、none=全く~ない」
部分否定「not~all(every)=全部~というわけじゃない」

「always」を使った表現

「always」を使った部分否定もよく使われます。

5. She is not always cheerful.
(彼女が、いつも機嫌がいいとは限らない)

6. We cannot always get the thing which we want.
(欲しい物がいつも手に入るとは限らない)

尚、「always」が「not」の前にあるときは、完全否定になるので気をつけてください。

7. She is always not cheerful.
(彼女はいつも不機嫌だ)

8. We always cannot get the thing which we want.
(私たちは、常に欲しい物を手に入れられない)←さびしい世の中だ~

ちなみに、上の7.は以下のように書き換えることができます。

9. She is never cheerful.
(彼女は決して上機嫌ではない)

または

10. She is not cheerful at all.
(彼女は、まったく上機嫌って事がない)

ここで何か気が付きませんか?

上の4.のところでは、「all」が部分否定で使われていました。 「not」で「all」も否定したからですね。

しかし、上の10.で使われている「not(~)at all」は、完全否定になります。 これはもう、そういう決まり文句だと思ってください。

「all」は「not all~」で使われると部分否定、「not at all」で使われると、完全否定になる。

About that, I was not all bad.
(それについては、私が全て悪いというわけじゃない)

About it, I was not bad at all.
(それについては、私は全然悪くない)

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