平叙文の場合

直接話法と間接話法。英語の授業でやりましたね。 うっすら思い出せますか? なんか、試験のために話法の書き換え問題いっぱいやったような……? もちろん、思い出せなくてもいいんですよ。 「書き換えなさい」なんて、通常の生活ではまず出てきません。

ただ、間接話法は、通常の会話でよく使います。 例えば、こんなときです。

会話中に「ねぇねぇ、この前ユウジ君が言ってたんだけど~」のあと、ユウジ君が言ってた事を相手に伝える方法は二つありますよね?(←ちなみに、ユウジ君が誰かはどうでもいいです)

1.ユウジ君になりきって、そのセリフをそのまま繰り返す。
例:「俺さぁ、中学生の時、ミキちゃんに夢中だったんだよね」

2.ユウジ君の言ったことを、自分の言葉で伝える。
例:「ユウジ君、中学生の時、ミキちゃんに夢中だったんだって」

上の2が間接話法といいます。一方、1は、直接話法といいます。 直接話法は、言ったことをそのまま繰り返せばいいんで簡単です。 なので、英会話の初心者は、結構、この直接話法を使いがち。 でも、直接話法ばかり使って会話していると相手に「幼稚」な印象を与えてしまいます。

そこで、ワンランク上の会話をするためにも、間接話法もしっかりマスターしましょう。 まずは、基本の「平叙文の直接話法と間接話法」を見ていきます。

直接話法で伝達内容が平叙文の場合

最初に、大原則を覚えましょう。

「~が言った」という場合、直接話法では、必ず「say」が使われる。

それでは、上の1の日本語の文章(ユウジ君の話)を英文にしてみましょう。

3. Yuji said, “I was crazy about Miki when I was a junior high school student.”

尚、「私に」のように「誰々に」を入れたいなら、前置詞toが必要です(絶対に忘れちゃだめですよ!)

4. Yuji said to me, “I was crazy about Miki when I was a junior high school student.”

直接話法で注意するのはこれだけ! 後は、” “の中に、言ったセリフをそのまま入れればよし。 簡単ですね。 この簡単さがいいんですよね。 でも、さっき言った通り!「直接話法だけじゃ、会話が幼稚!」。 なので、頑張って間接話法もマスターしましょう。

間接話法で伝達内容が平叙文の場合

まず、間接話法の大原則を覚えましょう。

間接話法では単に、「~が~と言った」という場合には「say」が使われ、「~が~(誰々)に~と言った」と、伝える人を入れたい場合には、通常「tell」が使われる。

「なんで、そんなめんどくさい事になるんだよ!」と怒ったりしないでくださいね。 後ほど説明しますが「say to」は「S+V+O1+O2」という形を取らないんです。 そのまま覚えてください。 それでは、上の3を間接話法にしてみましょう。 尚、この文は「~(誰々)に」が入っていないので、「say」のまま、間接話法にできます。

5. Yuji said that he had been crazy about Miki when he had been a junior high school student.”

次に、上の4を間接話法にしてみましょう。 この文は、「to me」と「~(誰々)に」が入っているので、「say」は使えません。従って「tell」を使います。

6. Yuji told me that he had been crazy about Miki when he had been junior high school student.

まずは「言う」という動詞(「say」と「tell」)の使い分けをしっかり覚えてください。

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間接話法の動詞はヴァリエーションがいっぱい

さらに、間接話法を詳しく見ていきましょう。 実は、間接話法を取る動詞は、「say」や「tell」以外にもいっぱいあります。 例えば、上の5の例文は以下のようにも言い換えることができます。

Yuji confessed that he had been crazy about Miki when he had been junior high school student.
(ユウジ君は、中学の時ミキちゃんに夢中だったことを白状したわよ)

他にも、色々考えられます。

Then, he admitted that he couldn’t forget Miki even now.
(そして彼は、今でもミキちゃんを忘れられないと、認めたの)

I promised him that I would never tell Miki that.
(私は彼に、ミキちゃんには絶対言わないと、約束したわ)

間接話法の伝達動詞を全て「tell」で済ます事もできますが、いろいろ使えると、ニュアンスが伝わりやすくなります。 注意したいのは、「promise」のように人を目的語にとる動詞と、「admit」のように人を目的語にとらない動詞がある事です。 人を目的語にとらない動詞で「~に」と言いたい場合は、前置詞「to」を付けることを忘れないでください。

伝達内容(that以下)の再構築することもできる

間接話法とは、聞いた内容を自分の言葉に再構築して話す表現方法です。 なので、言ったことを、そっくりそのまま伝える必要はないんです。 日本語だってそうですよね。

例えば、上記の4から6への変換は言葉に忠実に変換しています。 大事なところなので繰り返し言いますが、間接話法は「自分の立場から見た言葉で話す」という事なので、言葉に忠実に変換しなければいけないというわけではないのです。

以下の3つに注意すれば、自在に変換してかまわないんです。

登場人物を話者の視点から見たものに変換する。上記の4から6への変換では、「I」から「he」になっています。
時制の一致。上記の4から6への変換では、that以下が過去完了になっています。 伝達動詞(「say」「tell」など)が『過去形』の場合、時制の一致が適応されます。
副詞の変換。上の例文には出てきませんでしたが、that節内の副詞(時間や場所)の言い変えも必要に応じて行います。

Yuji said, “I saw Miki accidentally here yesterday.”
(ユージ君は「昨日ここで偶然ミキちゃんに会ったんだ」と言ったの)

↓間接話法に変換↓

Yuji said that he had seen accidentally there the day before.
(ユージ君が言ってたんだけど、その前の日に偶然そこでミキちゃんに会ったって)

副詞に注目してください。

学校では「here→there」「yesterday→the day before」と変換するように教わったと思いますが、必ずこの法則通りにしなければならないというわけではありません。

ユージ君は「here」と言ったけど、話者は話してる相手に分かりやすく伝えるために「in front of Sapporo station」など、具体的な場所に変換してもいいのです。 また、この会話が、ユージ君との会話と同じ日なら「the day before」とする理由はなく、そのまま「yesterday」でOK。

それではもう一度、上の4の例文を間接話法にしましょう。 今回は、当時はクラスメイトだったけど、今は別々のクラスという設定にします。

Yuji admitted that he had loved Miki when we had been classmates.
(ユージ君は、私たちが同じクラスだったとき、ミキちゃんの事が大好きだったって認めたわ)

この場合、ユージ君が言ったセリフ通りではないけど、相手にユージ君が言っていた内容が伝わればOK!

上の3つを注意して自由に表現してください。 もう一度、繰り返します。 肝心なのは「内容」。これが間接話法です。 尚、直接話法は「言ったセリフそのもの」を表すので、勝手に色々変えちゃだめです。

まとめ(平叙文)

直接話法で使われる動詞は「say」
間接話法で使われる動詞の代表は「tell」だが、状況に応じて色々使える。

直接話法では、「言ったセリフ」をそのまま伝える。
間接話法では、「言った内容」を話者の言葉で再構築して伝える。

間接話法では、
話に登場する人物の転換
時制の一致
副詞(時や場所の説明)の転換
の3つに注意する。

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疑問文の場合

次に疑問文のセリフを間接話法で伝えるにはどうすればいいのかを説明していきます。

一般疑問文(Doから始まる疑問文)

早速、例文から見ていきましょう。

Haruko said to Hanamichi,”Do you like basketball?”
(晴子は花道に、「バスケットボールはお好きですか?」と言った。)

名ゼリフが多いことで有名な漫画「スラムダンク」のセリフから拝借してみました。 ヒロイン、赤木晴子ちゃんのセリフですね。 主人公の桜木花道は、この一言でバスケを始める事に……。 それでは上の例文を間接話法に直してみましょう。

Haruko asked Hanamichi if he liked basketball.
(晴子は花道に、バスケットボールは好きかとたずねた)

ポイントは3つあります。

疑問文のセリフを間接話法で伝えるときの3ヶ条

1. 伝達動詞は「tell」(言った)ではなく、「ask」がベター。
「ask」は「tell」同様、人を直接目的語に取れるので、前置詞toは不要です。 尚、「ask」が最も一般的ですが、「inquire」「wonder」などが使われるときもあります。

2. 「that節」ではなく、「if節」を使う
「whether」も可能ですが、「if」の方が一般的です。

3. 「if節」の中では、語順が平叙文と同じになる。(←疑問文のような倒置形にしない)

あとは、平叙文と同様、セリフ内の人称や副詞(場所や時間を説明している単語)、時制の一致に注意して伝えればOK。 特に、日本人には時制の一致がなじみにくいので、よく注意してください。

それでは、もう一度、間接話法に変換した上の例文を見てみましょう。 まず、「like」が「liked」に変わっています。 これは時制の一致(従属節(疑問文の部分)の動詞は、主節の動詞が過去形の場合は、それに合わせて時制を変化させること)です。 ただ、意味は「好きでしたか?」ではなく「好きですか?」のままです。 時制の一致は動詞が変化(過去や過去完了など)するだけで、動詞の意味は変わりません。

尚、『「tell」と「that節」の組み合わせでも、絶対間違い!』ってわけじゃないんですが、「ask」と「if」の組み合わせの方が、伝わりやすく、こなれた表現になります。

疑問詞

早速、例文を見てください。

The reporter asked Sakuragi,”When did you first make a dunk shot?”
(そのレポーターは、桜木選手に、「初めてダンクを決めたのはいつですか?」とたずねた)

海南大付属に負けた花道に、晴子さんがこう言うんですね~。 「『桜木選手、初めてダンク決めたのはいつですか?』将来絶対聞かれるよ」って。 安西先生の名言が光る「スラムダンク」ですが、晴子さんもいい事言ってんな~。

それでは、上の例文を間接話法にしてみましょう。

The reporter asked Sakuragi when he had first made a dunk shot.
(そのリポーターは桜木選手に、初めてダンクシュートを決めたのはいつかたずねた)

疑問詞のセリフを間接話法で伝えるときの3ヶ条

1. 伝達動詞は「tell」ではなく、「ask」がベター。
2. that節ではなく、疑問詞節を使う。
3. 疑問詞節の中では、語順が平叙文と同じになる。

それ以外では、時制の一致、人称、副詞に注意する点も、上の疑問文の場合と全く同じです。

ただ1点注意してほしいことがあります。 それは、上の3には例外があります。それは「語順が直接話法と変わらない場合が2つある」という例外です。

1つ目は、疑問詞が主語になっている場合

She said to us, ”Who ate all my pudding?”
(彼女は私たちに、「誰が私のプリン食べたの?」と言った。

この例文を間接話法に変換すると以下のようになります。

She asked us who had eaten all her pudding.

2つ目は、主語が長すぎになる場合

My son said,” What are the biggest mammals in the world?”
(息子は、「世界で一番大きな哺乳類は何?」と言った)

まず、この例文を、法則通りに間接疑問文に直してみます。

My son asked what the biggest mammals in the world were.

となりますが、what節内の主語が長すぎて文章のバランスがよくないので、直接話法のときと同じ語順にします。

My son asked me what were the biggest mammals in the world.

この方がおさまりがいいですね。

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