「should」「ought to」「had better」編

提案や勧告、義務を表すことができる「~した方がいい」「~すべき」。 英語では、「~した方がいい」「~すべき」を表す助動詞や、それに準ずる表現がたくさんあります。

まず思い付くのは、「must」「have to」でしょうか。 それに、「had better」なんてのもありました。 他に「should」、あまり見ないかもしれませんが「ought to」というのもあります。

では、「should」「ought to」「had better」「have to」「must」はどのように使い分けすればいいのでしょうか? 「全くできない!」という方も、「なんとなくわかるけど、微妙な違いがわからん」という方も、まずは以下をご覧ください。

「should」(弱い)→「ought to」→「had better」→「have to」→「must」(強い)

義務の強さを弱い順から並べるとこうなります。(参照:lLIGHTHOUSE ENGLISH-JAPANESE DICTIONARY) では、それぞれの持つ意味や、どういう場面で使うのが適切か、実際の会話で詳しく見ていきましょう。

「should」(かる~いニュアンス)

Which cake should I eat, chocolate cake or millefeuille!?
(チョコケーキとミルフィーユ、どっちを食べるべき?)

「どっちのケーキを食べるべき?」のような、軽い場面では「should」がぴったりです。 「should」が表す「~すべき」は、「しなくてはならない」という強い義務というよりは、「~した方がいい」というくらいのニュアンスです。

非常に頻繁に使われる表現で、家族や友人、あるいは目下の人に向かって「~した方がいいよ」というときは、「should」がよく使われます。 また、「このゲームやってみるべきだよ」とおすすめする場合にも、「should」が使われます。

You should play this game! It't so cool!

「ought to」

「ought to」も強い義務というより「~した方がいい」というニュアンスに近いのですが、「should」よりは、客観性が伴い、「~するのが必然だから、~した方がいい」という感じになります。

You ought to apologize to him.
(彼に謝らなくてはならないよ)

尚、「You should to ~」ですと、「誤った方がいいんじゃない」という感じですが、「ought to」を使うと、客観的に見て「悪いのはあなただし、ここはきちんと謝るべきだ」というような、義務の度合が強く表れています。 ただ、この「ought to」ですが、会話で多用される事はなく、基本的に「should」の方が圧倒的に多く使われます。

「had better」(ニュアンスに要注意!)

「had better」は「~した方がいい」という訳だけで覚えていて、誤って使っている人が多いです。 間違いなく、日本人が勘違いしている英語表現リストの上位に入ります。

「had better」は、「better」という単語が含まれている通り、話し手の、「よい、わるい」の気持ちが強く表れた言い方です。 そのため、相手に対して使うと、非常に押しつけがましい言い方になります。 「~した方がいいよ」というような、軽い言い回しじゃないんです。

従って、とっても面白い本があって、友人に「この本読んでみた方がいいよ」とお薦めするのに、「You had better to read this book.」とは言いません。 「had better」を使う場合、「~した方がいいよ。さもないと」という気持ちがひそんでいると思ってください。「~しないと、問題が起きたり、事態が悪い方に進んじゃうよ」というニュアンスの表現です。

ですから、上の例文(「You had better to read this book.」)だと、「この本を読まないと、困った事になるよ」(←試験に落ちるとかね)って意味になります。 また、こんな場面にも「had better」が使われます。

I had better hang up now, or I might hurt him.
(今すぐ電話を切った方がいいわ。でなければ、彼を傷つけてしまいそう)

この例文で「should」や「ought to」を使っても間違いではないんですが、ちょっと軽い。 また「must」(「must」の解説はこの下をご覧ください)でもよいのですが、なんとなく、この文からは「電話を切りがたいのだけど、切った方がよい」という気持ちの機微が見えませんか? このように、本人の良し悪しの判断が強く押しだされる場面では、「had better」がしっくりきます。

まとめ

最後に、「should」「ought to」「had better」の特徴をおさらいしてみましょう。

「should」:「~した方がよい」「すべきだ」という表現の中でもっとも軽い。 日常会話で頻出。日本人の「~した方がいいよ~」「~してみなよ」というときの感覚に最も近い。
「ought to」: 「sould」よりも客観的な視点で使われる。
「had better」:「~した方がよい。もしそうしなければ~」という表現。 もし、~しなければ問題や悪いことが起こる事を予測している場合に使われます。

ここで、ちょっと発展的な内容なんですが、助動詞と、助動詞に準ずる言葉の持つ、ニュアンス違いについてお話します。 助動詞は、自分の心や思いと直結しているときに使われる傾向がありますです。 一方、それに準ずる表現は、本人の意志や思いよりも、客観的な視点で語られるときに使われます。

上で解説した「should」は、「私はこうした方がいいと思うよ」という気持ちを伝えるときに使います。 一方「ought to」は、自分がそう思っているというより、「そういうきまりだから」とか「状況から判断すると」という視点で使われます。

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「have to」「must」編

上では「~した方がいい」や「~すべき」を表現する「should」「ought to」「had better」の3つについて解説しました。 ここからは、「should」「ought to」「had better」よりも強い義務や勧告を表す「have to」と「must」について解説していきます。

「have to」(客観的な必然性を感じる)

中学生の英語の授業のとき、「must」と「have to」の書き換えをさんざんやらされた思い出がある人も、少なくないはずです。(私もそうです) 確かに、「should」や「ought to」に比べ、「~すべきだ」という強い義務を表す点で、この二つは似ています。 でも、完全に同じというわけでもないんです。

I have to get up early tomorrow to attend a special meeting.
(私は明日、特別な会議に参加するため、早起きしなければならない)

会議に出席するのは、本人の意志じゃなく、周囲の状況が決めたこと。 早起きしなければ間に合わないから、必然的にそうすべきなのです。

このように自分の思いではなく、客観的な必然を表すときには、「have to」がぴったりなのです。 ただ、「must」を使ったら完全に間違いというわけではないんです。 本人の気持ち次第では、「must」を使う場合もあるでしょう。

「must」(強い力を感じさせる)

では、上の例文を「must」を使って表した場合はどうでしょう。
I must get up early tomorrow to attend a special meeting.
基本的な意味は上と同じです。 ただ、「must」を使うと、より本人の意志を感じさせます。

本当は、早起きしなくても会議に間に合うのかもしれません。 でも、何がなんでも早起きして、気合をいれて事前の準備をしなきゃ。 のように、客観的な状況よりも、本人の「絶対~すべきだ」という強い意志を表すときは、「must」を使います。

I must lose weight by summer.
(夏までに、絶対やせなきゃ)

誰も「痩せろ」と強要したわけじゃない。 でも、本人にとっては絶対になしとげなきゃならない事、そんな気持ちをひしひしと感じてください。 ただ、会社から「夏までに痩せなきゃクビだ!」と言われてしぶしぶ痩せようと思っている場合(どんな場合だ?アイドル?)は、「have to」を使ったほうがいいでしょう。

尚、「must」は、必ずしも本人の意志を表すだけに使われるとは限りません。 例えば、公共ルールなどの記載や、一般的な道徳的観念にも「must」が使われます。

We must respect the elderly.
(お年寄りはうやまうべきだ)
最も強く「~すべき」という義務や必要を表す、それが「must」なのです。

「must」と「have to」が、言い換えできない場合

「must」と「have to」は、上にあげたような違いがあるのですが、言い換えても大きな誤解をまねくような事は基本的にはないでしょう。 ただ(ここ、大事なんで、よく聞いてくださいね)、「must」と「have to」を、絶対に言い換えられない場面が二つあります。

否定形にした場合
「must」の否定形は「~すべきではない」と禁止を表すのに対し、「have to」の否定形は「~する必要はない」と、必要性の否定を表します。

You mustn’t go there.
(そこへ行ってはいけない。)
You don’t have to go there.
(そこへ行く必要はありませんよ。)
この二つには、明らかに大きな違いがあります。 しっかり覚えて、使い分けしてくださいね。

強いお勧めを表す場合

You must play the game. It’s so cool.
(このゲームは絶対やらなきゃダメだよ)
この例文では、ゲームを強くおすすめしていることがわかると思います。

なので、上の例文を「You have to play the game. 」(あなたは、そのゲームをする必要があります)で言い換えることはできません。

まとめ

会話において「must」「have to」「had better」は、非常に強い言い方です。 中学英語で習ったように、相手に対して「You have to~」などと軽々しく言うのは、避けた方が無難でしょう。 「should」もせいぜい友だちまでにしか使いません。

では、どんな場合に「must」や「have to」を使うのかといえば、まずは「自分(達)が~すべき」と表現したいときです。 また、公共のルールを表すときや、何かをお薦めしたいときにも「must」が使われます。

さらに、子ども相手にきちんとルールを教えるときにも使われます。 ただ、子ども相手にも「~した方がいいよ」というような普通の会話では「should」で十分なのです。しつけとしてはっきり言いたいときの、きめゼリフに使うことができると覚えておいてください。

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