「~させる」という意味を持つ構文

Once upon a time, Japan had the era named “Bubble”. And in the time, there were men called “Assy”…….

「むかーしむかし、日本には、バブルと名付けられた時代があったそうなぁ。そしてその時代には、アッシーと呼ばれる男たちがいたそうな~」

いきなり、使役動詞とは関係のないような英文からスタートしましたが、バブルの時代、ボディコンスーツを着込んだオネーさんたちは、アッシーと呼ばれる男たちに、ディスコ、あるいは家まで、車で送迎させていたんです。

アッシーという言葉を聞いて、「懐かしい」それとも「アッシーって何?」という方もいると思いますが、今回は「アッシー」を題材に使役動詞の使い分けを見ていきたいと思います。

使役動詞とは、「人に~させる」「人に~してもらう」などを意味する動詞で、その名の通り、自分以外の何か、あるいは誰かに何かをさせるときに使う動詞です。

例えば「アッシーたちに、車で送らせる」
この「させる」にあたるのが、まさに「使役動詞」ってわけです。

そんなアッシーをつかい倒すオネーさんたちの一言が以下の例文です。

I will ( )him drive me home.
(今日は彼に家まで送らせるわ)

( )に何を入れるのがふさわしいか、わかりましたでしょうか?

それでは、使役動詞の使い分けを見ながら、上記の空欄にどんな動詞を入れればいいのかを考えていきましょう。

種類と形

「上記の( )に何の使役動詞が入るかな~?」と言われても、使役動詞にどんなのがあるか分からないと、入れようがありません。 そこで、主要な使役動詞を見ていきましょう。

使役動詞で主要なものは、「make」「have」「let」の3つです。

「make」「have」「let」の3つの使役動詞は、「使役動詞+O(目的語)+動詞の原形」という形で使われます。 この形が大切ですので、覚えておいてください。

なお、上記3つの他に、使役動詞ではないのですが、使役動詞を同じような働きをする動詞もあります。 もっとも代表的なのは「get」です。 「get」は、上にあげた3つの使役動詞のように、「Oに~させる」という意味を持つのですが、O(目的語)のあとに、動詞の原形を取らず「get +O+ to不定詞」の形をとります。

そのため、厳密には使役動詞と区別しています。 というわけで、今回は( )にgetは入りません。

さぁでは、( )の中には上記3つの中のどれが入るのか見ていきましょう。 それぞれの持つ意味、ニュアンスをしっかり感じ取ってください。

「make」(有無を言わせない力で「~させる」)

「make」は強い力で、相手に「~させる」というときに使われます。

Jaian made Suneo help with homework.
(ジャイアンはスネ夫に宿題を手伝わせた)

「手伝わないと殴るぞ~」という強い圧力をびしびし感じます。 尚、これ程極端ではなくても「make」には、相手の有無を言わさず「させる」という圧力をはらんでいます。

「have」(特に感情を伴わず、当たり前の「~させる」、受益「~してもらう」)

Certainly, I’ll have her sent e-mail soon.
(了解しました。すぐ彼女にメールを送らせます)

ビジネスの場では日本語でも「~に~させます」という言い方をよくします。 このとき、「無理やり~させる」などの、何らかの感情はありません。 ただ「~させる」と言ってるだけです。 このように、相手がするのが当たり前の事を「させる」ようなときには、「have」を使います。

また、「~させる」という意味だけじゃなく、「~してもらった(受益)」という意味でも、使われます。

Nobita had Sizuka help with homework.

これは、「のび太はしずかちゃんに宿題を手伝わせた」ではなく、「手伝ってもらった」というニュアンスです。

「let」(許可して「~させる」)

I let my son go to Disneyland with his friends in summer vacation.
(私は夏休みに、友だち同士で息子をディズニーランドに行かせた)

「let」は許可して「~させる」という意味を持ちます。 「make」とは反対で、相手がやりたい事を「させる」ときに使うのがポイント。

尚、年下や目下の人を相手によく使われる言葉ですから気を付けてください。 Iを主語にして、自分と対等の相手や、目上の人相手に使うと、尊大な印象になってしまうときもあります。

また、子どもが自分に「~させて」というとき、よく「let」を使うので、以下の例文で「let」の持つニュアンスを理解してください。

Let me try!
(私にやらせて!)

これはもう、1日に何度も子どもに言われます。

また、何かを手伝いたいとき、自分をちょっと下にして言いたいときにも「let」を使います。

Let me help.
(お手伝いさせてください)

「get」

上で述べましたように、「get」は厳密には使役動詞ではないのですが、「人に~させる」という意味の動詞では頻出ですし、上の「make」「have」「let」との使い分けはとても重要なので、ここで解説します。 では、早速「get」のもつニュアンスを見てみましょう。

「get」は、何らかの働きかけを伴って、「~させる」あるいは「~してもらう」ときに使われます。

Nobita got Doraemon to help with homework.
(のび太は、ドラえもんに宿題を手伝ってもらった)

ドラえもんが「宿題くらい自分でやりなよ」というのを、のび太が「おねが~い!後でどら焼きあげるから~」とか何とか言って、やっと手伝ってもらったという意味です。 くどいようですが、「get」は「使役動詞+人+動詞の原形」の形をとりません。 Doraemonの後が、「to help」と「to不定詞」の形になっている事に注目してください。

まとめ

「make」「have」「let」の違いは理解できましたでしょうか。 これで、最初に出した問題の空欄にどんな動詞を入れたらいいのかわかりましたよね。

I will ( )him drive me home.
(今日は彼に家まで送らせるわ)

「make」は、相手の意志の有無を言わさず「~させる」なので、ふさわしくありません。 アッシー君たちは、自ら望んで送迎の役目をかって出ているからです。

「have」は、当たり前の事を相手に「~させる」、あるいは「~してもらう」という意味でした。これはピッタリですね。 アッシー君の役目は、運転なんですから。 また、オネーさんたちにも「運転してもらう」くらいの、優しい気持ちがあったかもしれません。

「let」は、相手に許可を与えて「~させる」という意味でした。 もし、上記の空欄に「let」入れてみるとどうでしょうか?

I will let him drive me home.

意味は「私、彼に家まで送らせてあげるつもり」となり、相当な高飛車女王様です。 もちろん、そんな方もいたかもしれません。 何としても彼女を車に乗せたいアッシーを10人くらい抱えていて、「今日は、あなたに運転させてあげるわ」なんて、言っちゃう女王様なら、アッシー君たちが喜んで送迎係を引き受けてるんでしょうから、「let」もあり得るでしょう。

「get」は、頼んだり、なだめたりして、なんとか相手に「~させる」という意味でした。 「get」はどうでしょうか? 上記の例文には、ちょっとふさわしくありませんね。

頼み込んで送迎してもらうようでは、アッシーと呼べないからです。 ただ、もし、「送ってくれたら、部屋にいれてあ・げ・る」ってことなら、話が違ってきます。 なんらかの条件を提示して「~させる」訳ですから、「get」もありえます。

ただ、バブルの時代のアッシー君たちは、家まで送ってあげたからといって、「そこから部屋に入れてもらって」というふうにはならなかったでしょう。 なので、「get」も無理があります。

アッシー君を題材に「~させる」という表現を見てきましたが、いかがだったでしょうか 次は、さらに紛らわしい使役動詞の受動態について見ていきます。

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使役動詞の受動態の作り方

使役動詞の受動態は「試験に狙われるテーマ」の1つです。 つまり、間違えやすいところなんです。 また、試験で狙われるだけでなく、日常会話でも受動態の表現はよく使われるので、しっかり覚えてください。

「make」の受動態

まず、使役動詞「make」を受動態にすると、原形不定詞の部分がto不定詞になることを覚えましょう。

My mom made me clean my room.
(母さんは僕に、部屋の掃除をさせた)

これを受動態にしてみます。

I was made to clean my room by mom.
(僕は、母さんに部屋の掃除をさせられた)

「made」の後が、to不定詞に変わっている事に注目してください。

なお、「let」「have」は「be動詞+過去分詞形」という受動態の形をとりません。 これも注意しておいてください。 尚、「let」を受動態にしたい場合は、以下で登場する「allow」を使います。

似たような単語での書き換え

実は、使役動詞は似たような単語に置き換える事もできます。

代表的なのは以下の2つです。

「make」→「force」
「let」→「allow」

They made her dive into the ice water.
(彼らは、彼女を氷水の中に飛び込ませた)

この例文は以下のように置き換えられます。

They force her to dive into the ice water.
直訳すると、「水の中に飛び込ませるように強いた」ですが、意味的には「~させた」という事です。

次は、以下の例文を見てください。

She let me kiss.
(彼女は僕にキスさせ(てくれ)た!)

これは、強制的に「~させた」じゃなく「~することを許す」の意味の「させる」です。 上の文は、「allow=~する事を許す、許可する」を使って、以下のように書き換えられます。

She allowed me to kiss.
(彼女は僕にキスさせてくれた)

なお、「kiss」が「to kiss(to 不定詞)」になっていることにも注意しましょう。

次に、受動態にしてみましょう。 上で述べたように、「let」を受動態にするときは「be動詞+過去分詞形」という形をとらずに「allow」を使います。 つまり、上の「let」を「allow」に置き換えた例文を受動態にすればいいのです。

I was allowed to kiss her.

ここまでを踏まえて以下の問題を解いてみましょう。 ( )にふさわしいのはどれでしょうか?。

問:My parents ( ) me study for three hours every day.
1.forced  2.compelled  3.made  4.obliged

正解は……もうお分かりですね。 3の「made」です。

残りの選択肢は、どれも「~に~を強いる」という意味の単語ですが、me(人=目的語)の後にはto不定詞が来ます。 ここでは、(me)の後に、原形が来ているので、これらの選択肢は選べません。 従って、3の「made」が正解になるわけです。

尚、上の「force」「compel」「oblige」3つの単語の使い分けは以下の通りになります。

force=「有無を言わさず無理やり~させる」という意味で広く使われる。暴力などによる強い意味合いで使われる事もある。

compel= forceよりは弱め。暴力による強制などでは使われない。

oblige= compelよりも、さらに弱い。義務や必要があるため、「どうしようもなく~させる」という意味で使われる。

まとめ

それではもう一度、大切なポイントをおさらいしておきましょう。

使役動詞の受動態
「make」を受動態で使うと、後にくる動詞は原形ではなく「to不定詞」になる。
「let」「have」は「be動詞+過去分詞」という形の受動態にはできない。
「let」を受動態にするときは、通常「allow」に置き換えてから受動態にする。

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