二つの和訳があることに注目
It is that構文の罠
英文ではよく「It is that…」という形が使われます。 「It is that構文」と呼ばれているものなのですが、大きく分けて二つの使い方があるんです。 一つはこんな形ですね。
It is obvious that Jim loves Mary.
(ジムがメアリーを愛しているのは、明らかだ。)
この例文は「形式主語」というやつです。 直訳すると、「それは明らかだ。ジムがメアリーを愛しているのは」になりますね。
つまり意味上では、「It=that以下の文」になっています。
英語では頭でっかち(主語が長くなる)のを嫌うので、Itで仮の主語をたて、その内容は後にくっつける、すなわちthat以下で述べるんです。
では以下の例文はどうでしょう。 和訳してみてください。
It is Mary that Jim loves.
(ジムはメアリーを愛している)
上の訳はブッブーーーーッ!です。 いや、基本的には間違いじゃないんですよ。 直訳すると「それはメアリーだ、ジムが愛しているのは」となり、内容的にはOKです。
しかしですね、この文は「強調構文」といって、「It is」と「that」の間に挟んだものを、強調したいときに使うんです。ですから上の例文の和訳は以下の通りになります。
「メアリーこそ、ジムが愛している人だ。」
とにかく、メアリーを強調して訳さなくてはならないんです。
ちなみに、この例文を使うときのシチュエーションを考えみました。 ジムはもしかしたら、他の女性を愛してるふりをしていたのかもしれません。サラとかベティーとか。でも、そうじゃない、彼が愛しているのはほかでもない、メアリーなんだ!! ジャジャ~ンという感じでしょうか。
受験生、あるいは英語関連の試験を受ける予定のみなさん、特に覚えといてください。 和訳の問題で、「It is that構文」が出てきたら要注意です。 「形式主語」と「強調構文」を見分けられるか試されている、罠だと思ってください。
強調構文だった場合、必ず、「~こそ」のような強調を示す語を使って和訳しないと、減点です。 では、「形式主語」と「強調構文」をどう見分けるのか、説明していきますね。
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形式主語と強調構文の違いを理解しよう
形式主語構文と強調構文の見分け方のポイントは、二つにしぼられます。
「It is」と「that」に何がはさまれているか
that以下が完全文か不完全文か
形式主語構文の構成
形式主語構文を上の二つのポイントで見ていくとこうなります。
1.「It is」と「that」の間に挟まれるのは補語Cにあたるもの。従って、名詞か形容詞になる。
形容詞なら100%形式主語。
名詞だった場合は下の2を見よう。
2.that以下は完全文。
何の事だかピンとこなくても大丈夫です!
早速、さっき見た例文を見てみましょう。
It is obvious that Jim loves Mary.
この文を、形式主語をたてていない元の形に直すと
That Jim loves Mary is obvious.
「S+V+C」のいわゆる第二文型になりました。 「That Jim loves Mary」が主語Sですね。 第二文型において、補語Cというのは、主語がどういう状態なのかを説明するものなので、ここではobviousです。
このように、「S+V+C」の文型で、Sの部分大きすぎるのはイヤなので、「It」に置き換えてしまったのが、形式主語構文でしたね。 ですから、「It is」のあとには、補語Cがくるわけです。 補語になれるのは、形容詞、あるいは名詞です。
ですから以下のように、「It is」の間に名詞をはさんでも形式主語の文にできますよ。
It is a fact that the hair of polar bear is not white.
(白熊の毛皮が白くないのは、事実だ)←白熊の毛は無色透明です。
元の文は「That the hair of polar bear is not white is a fact.」
ただ、ここで注意があります。 「It is」と「that」の間が形容詞だった場合は、形式主語で間違いありません。 でも、名詞だった場合は、形式主語構文、強調構文どちらも可能性があります。 そのときは、that以下に注目してください。
形式主語構文だった場合、that以下が完全文になります。完全文というのは、足りないものも、余るものもないという事です。 上の二つの例文をもう一度見てください。
It is obvious that Jim loves Mary.
It is a fact that the hair of polar bear is not white.
どちらも、that以下は完全文になっており、「It is that」をとってしまっても、一つの文として成り立ちます。 このように、that以下が完全文だった場合は、形式主語構文です。
強調構文の構成
次は、強調構文を見ていきましょう。 強調構文というのは、文の強調したい部分を「It is」と「that」で挟んだものです。
1.「It is」と「that」の間に挟まれるのは、主語、目的語、副詞(節や句も含む) など多岐にわたる(動詞は入りません!)。
副詞(句/節)だったら100%強調構文。
2.1で主語や目的語が強調されている場合、that以下に続くのは不完全文になる。
さっそく、例文を見ていきましょう。 上で登場した強調構文をもう一度ご覧ください。
It is Mary that Jim loves.
この例文は「Jim loves Mary」という文の目的語(Mary)を「It is」と「that」に挟んで強調しているわけです。 同じ文で主語を強調する事もできるんですよ。
It is Jim that loves Mary.
もちろん、強調するところを変えると、全然ニュアンスが違ってきます。 強調構文において、強調された部分は「ほかでもない~だ」という意味を持ちますから、上の例文は以下のような訳になります。
「ジムこそ、メアリーを愛している(その人だ)。」という意味になります。
そうですね~、「色んな男がメアリーに言い寄っている。でも、本当に彼女を愛しているのはほかでもない、ジムなのだ!!」って感じですかね。
さて、上の二つの文にもう一度注目してください。
It is Mary that Jim loves.(目的語の強調)
It is Jim that loves Mary.(主語の強調)
どちらも、that以下が不完全な文になっています。 これはもちろん、「It is」と「that」の間に移動してしまったからです。 このように、強調構文で主語や目的語を強調した場合は、that以下が不完全文になるわけです。
さて今、主語や目的語を強調した文を見てきましたが、次に副詞(句/節)を強調した文を見ていきましょう。 これまで使っていた例文には副詞(句/節)がなかったんで、JimとMaryの物語にちょっと足しますね。
Jim met Mary in Paris.
副詞(句/節)というのは動詞・形容詞・他の副詞を修飾するものですから、ここでは動詞を修飾している「in Paris」です。これを強調してみます。
It was Paris that Jim met Mary.
(パリこそ、ジムがメリーに出会った場所なのだ)
どうです? いきなりロマンチックな感じになりましたね。これが強調構文です。 さて、that以下を見ると、完全文(過不足なし)になっていますね。 このように、副詞(句/節)を強調した場合は完全文になります。
まとめ
さぁ、これまで見てきた事を、もう一度おさらいしてみましょう。 「It is that構文」が、形式主語構文か強調構文か見分けるポイントは以下の通りです。
1.「It is」「that」で間に挟まれているのは何かを見る。
形容詞だったら → 形式主語構文
副詞(句/節)だったら → 強調構文
名詞だったら → 2へ
2.
that以下が完全文だったら → 形式主語構文
that以下が不完全文だったら → 強調構文
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