「~すること」の表し方

英語初心者が必ずといっていい程つまずく表現が「~すること」。 「~すること」は日本語でも非常によく使うので、英語でも簡単に表現できそうですが、実際、「~すること」を英語で表現しようと思うと迷う方も多いのではないでしょうか?

最初に結論を言いますと『「~すること」を英語で表現するときは、関係代名詞の「what」を使うと便利だよ』ってことです。

それで、関係代名詞の「what」を使ってどうやって「~すること」を表現すればいいのかをお話ししていきます。 尚、関係代名詞の「what」には「~すること」という意味の他にもよく使う意味もありますので、一緒にお話ししていきます。

目次

「thing」について

まずは、以下の日本語を英語に直してみてください。

「彼女の言っていることが分からない」

「こと」を英語に直訳すると、「thing」が妥当です。 なんとなく「thing」っていうと、有形の「物」ってイメージがある方もいると思いますが、無形の「こと」も全部「thing」で表現できます。 つまり「thing」は具体的な何かではない、物事全般を表すことができるんです。

それでは、上の例文の「言ってること」を英語にしてみましょう。

the thing which she is saying

従って、全文を英語に訳すと以下の通りになります。

I can’t make out the thing which she is saying.

ただ、はっきり言って、こんな言い方をすることはまずないです。 じゃぁどうするかっていうと、ここで登場するのが、関係代名詞の「what」なのです。

関係代名詞のwhatは先行詞をとらない

上の例文ですが、関係代名詞でつながれている文ということに気付きましたか?

先行詞が「the thing」で、関係代名詞に「which」が使われています。

ただ、上でも言ったように、普通はこんな風に言いません。 実はこんな法則があるんです。

先行詞が「thing」。すなわち具体的な何かではなく、漠然と「物」とか「こと」である場合は、関係代名詞の「what」が使われる。その際、先行詞は「what」の中に内包されていると考える

上の例文をこの法則に従って書き換えてみます。

I can’t make out what she is saying.

これで普段よく使う英文の形になりました。 この表現は本当によく使うので、しっかりマスターしてください。 その際に、一つ覚えておいてほしいことは以下の通りです。

what節は名詞節なので、主語や補語、または前置詞の目的語にも使われます

ちょっと例文をたくさんあげてみます。 「こんな場面で使うのね」って感じを、しっかりつかんでください。

Thank you so much! This is just what I have wanted.
(どうもありがとう!これ、私がずっと欲しいと思ってたものよ)

what節が補語として使われているケースです。 この例文をちょっと操作すると以下のようにもなります。

What I have wanted is just this!
(私がずっと欲しいと思っていたのは、まさにこれなのよ!!)

今度は主語の位置にきました。

Could you tell me what I need to get the permit.
(その許可証を取得するために必要なことは何か、教えてくれませんか?)

what節が目的語の位置に来ています。

このように、名詞を置ける位置ならどこにでも置けるのが、関係代名詞「what」の使い勝手のいいところです。

「~するものはすべて」はどう言えばいいのか

ここからは応用編です。 「whatは、先行詞を内包している関係代名詞」ってことをしっかり頭に置いておいてください。

まずは、「~するものはすべて、~するものは何でも」という表現。

実は関係代名詞「what」を使って言うことができます。 先行詞は「all」あるいは「anything」と考えます。

I have done what I can do, but the baby never stops crying!
(私に出来る事は全部やったわ。なのに赤ちゃんは泣きやまないのよ!)

「what」の中に、「すべて」という意味が内包されていると考えてください。

また以下のようにも使えます。 具体的には関係代名詞「what」の形容詞用法と呼ばれる使い方です。

1. You can get what ingredients you need in that shop.
(必要な材料すべてをあの店で手に入れることができるよ)

この例文は以下のように言い換えることもできます。

2. You can get all ingredients that you need in that shop.

上の2の関係代名詞「that」を「what」に置き換え、「all」を「what」に内包させることで、上の1になります。

このとき、上の1の文の「what」が名詞「ingredients」の形容詞の位置に置かれることに注目してください。そのため、この用法は関係形容詞なんて呼ばれ方をします。

ちなみにこの用法では、「what little(few)=少ないながらもすべて」という表現が重要です。

The mother sent her son what little money she had saved.
(その母親は、なけなしの貯金すべて、息子に送った)

スポンサード リンク

慣用表現をマスターしよう

上で見てきたように、関係代名詞whatは便利な表現方法なため、たくさんの慣用表現があります。 そこで、次は関係代名詞whatを含む慣用表現の中でもよく使う表現を見ていきます。 尚、関係代名詞whatを含む慣用表現は知らないと意味がピンとこないものが多いので、その点を注意しながらこれ以降を読んでください。

「いわゆる~」を表す慣用表現

まずは例文から見てみましょう。

1. She is what we call a teacher’s pet.
(彼女はいわゆる、先生のお気に入りだ)

この例文が慣用表現だと知っていると簡単なんですが、whatが関係代名詞だと見抜けないと、何を意味する文なのかよく分からないでしょう。

まず、この文は、「She is」の後に先行詞が欠けています。 つまり、先行詞が関係代名詞のwhatに内包されているのです。 ここでは、その内包されている先行詞をpersonとしておきます。 先行詞personを使って、普通に関係代名詞の文にすると以下のようになります。

She is a person whom we call a teacher's pet.
(彼女は、私たちが先生のお気に入りと呼んでいる人です)

こうすると、構造的に分かりやすくなったのではないでしょうか。 ただ日本語訳からわかるように、なんか野暮ったい文になっちゃいます。 英語でもそう。 このような英文にするとな~んか野暮ったいです。 なので普通はこのようには書きません。

さて、この文で使われている「we」は、我々一般を表しています。 だから、普通和訳もしません。 尚、我々一般じゃない場合は、weではなく、他の主語を入れてもOK!

2. He is what you call “Ikumen”.
(彼はいわゆる、イクメンってやつだよ)

「Ikumen」は、もちろん、英語じゃないです。 「あなたたち(日本人)がイクメンと呼んでる」=「いわゆる」ってなるわけです。

なお、「what we call」は、受動態で使われる事も多いです。 上の1と2の文を、受動態にすると以下の通りになります。

She is what is called a teacher’s pet.
He is what is called “Ikumen”.

「今の~」「かつての~」はどう言えばいいのか

オリンピックなんかを見てると、以下のようなセリフがよく聞かれます。

「コーチが私を今の私にしてくれました!」

はい、こんなときにピッタリの表現が「what~be動詞」です。 「今の~」という意味で使われます。

My coach has made me what I am.
(コーチが私を今の私にしてくれました)

尚、この文は、ちょっとややこしいところもあるので、しっかり見ていきましょか。

まず、made(make)は、make O Cの形で「OをCの状態にする」という使い方をします。

上の文では、Oが「me」、Cが「what I am」です。

上のCには、名詞か形容詞が来るのですが、ここでは「what I am」が名詞の働きをしています。 なぜなら、whatは、先行詞を内包して、名詞節をつくるからです。

なお、be動詞が過去形になると「かつての~」という意味になります。

オリンピックの解説では、以下のようなセリフも聞かれます。

3. But he is no longer what he was.
(しかし、もはや彼も、かつての彼ではありませんね~)

以前の選手の過去の失敗談、メンタルの弱さや体力不足などを紹介した上で、上の様な決めゼリフを言っているのを聞いたことがあると思います。

「what he was」で、「かつての彼」です。 ここでも、名詞(節)として使われている事に注目してください。 関係代名詞のwhat節は、常に先行詞を内包しているので、名詞扱いになるのです。

また、この「what 主語 be動詞」は「what~used to be」と書き換えることができます。 上の3を置き換えると以下のようになります。

But he is no longer what he used to be.
(彼はもはや、以前の彼ではない)

「さらに~なことに」を表す構文

「what is 比較級」で「さらに~なことに」を意味します。

「what is better」=「さらによいことに」「what is worse」=「さらに悪いことに」などの形で、使われることが多いです。 尚、この慣用表現は挿入句として、文のどこにでも入れられます。

Sara is kind, and what is better, very beautiful.
(サラは優しいし、さらによいことに、すごい美人なんだ)

What is worse, I was still absence of mind from jet lag.
(さらに悪いことに、私はまだ、時差ボケでぼんやりしていた)

また「what is more」=「さらに、それに加えて」もよく使われます。

Kiwis are delicious, and what is more, very nutritious.
(キウイはおいしいし、さらに、栄養も豊富です)

ここで1点注意。 「what is 比較級」は、慣用的に副詞的役割(挿入句として使ってよい)で使われますが、これは、「what is 比較級」だけの特徴だと覚えておいておいてください。 上で出てきた「what we call」などは、副詞のように(挿入句として)は使えません。

「AとBとの関係は、CとDの関係と同じ」

この慣用表現(A is to B what C is to D)は必ず、以下の例文といっしょに出てきます。

Reading is to the mind what food is to the body.
(精神にとって読書とは、体にとっての食物と同じだ=読書は心の栄養だ)

この例文を理解しやすいように以下のように書き換えてみます。

Reading is a thing to the mind that food is it to the body.

「Reading is a thing to the mind」の部分は「読書とは精神に対する『何か』(=ここではとりあえずthingを置いています)」という意味で、その『何か』が何かと言うと、「food is it to the body」(体に対する食べ物)のことだよと言っています。

つまり、体に対する食べ物はどんなものかというと「絶対必要な栄養」と誰もが納得するイメージがありますよね。そのイメージを『何か』で表していると思ってください。

ここでもwhatが内包している先行詞は、具体的な何かではなく、漠然とした何かです。 『何か』が、whatに内包されてると考えてみて下さい。

こんな使い方もできます。

He is to me what brother is to you.
(私と彼の関係は、あなたとあなたの兄さんの関係と同じよ=彼は兄弟みたいなもんで付き合ってないわ)

このように、what以下には、誰にでも即納得できる分かりやすい例を置き、whatより前の関係を説明するときに使う構文なのです。 説明するとはえらいややっこしい構文のようですが、形はきれいで、簡単、かつ使いやすい構文です。

スポンサード リンク

このページの先頭へ