名詞と修飾に分けて考えるのが第一歩

関係代名詞と関係副詞は、英語に欠かせない修飾方法です。 例えば、日本語では「あのとき、パリで見た空」のように、名詞(ここでは空)の前にずらずらと色々並べて簡単に修飾できるのですが、英語では同じようにできません。

それでは、上の例文を英語ではどのように言えばいいのでしょうか? 日本語の語順通り「あのとき~」から考えるといつまでたっても答えにたどり着けません。

英語では、まず、言いたいことを一言(名詞)で表します。 今回の場合なら名詞(「the sky」)が来て、そのあとに修飾する部分(「どういう空かっていうと、あのとき、僕がパリで見た」)が来ます。

the sky which I watched at that time in Paris.

そして「名詞」と「修飾部分」を結んでいるのが「関係代名詞や関係副詞」なのです。

ちなみに「関係詞の使い方や決まりをいっぱい習ってきたけど、結局、何を使っていいのか分からない」という人も安心してください。 これ以降を読んでもらえれば、関係代名詞や関係副詞への苦手意識はなくなることでしょう。

目次

「which」と「where」の使い分け

まずは、「名詞」と「修飾部分」を結ぶとき、関係代名詞と関係副詞のどちらを使えばいいのかを理解しましょう

まずは、以下の例文の( )に入る関係詞を考えてください。

I want to visit the town ( ) I spent my childhood in.

ヒントとして関係代名詞「which」か関係副詞「where」が入ります。 さぁ、どっちでしょうか?

分かりましたか?

正解は、関係代名詞「which」。

なぜなら、文末に「in」があるから。

では、なぜ「in」があると「which」になるのか、見ていきましょう。

関係代名詞とは、文字通り、代名詞の働きをする言葉です。

上の問題文は以下の2文をつなげものです。

1. I want to visit the town.
(私はその町をたずねてみたい)
2. I spent my childhood in it.
(私は子供時代をそこで過ごした)

2の文の「it」という代名詞が指しているのは、1の文の「the town」です。 1と2の文をつなげるとき、代名詞「it」を関係代名詞「which」にします。

関係代名詞は「代名詞」の部分しか置き換えることができないので、前置詞の「in」は残ります。 従って、上の問題文は以下のようになります。

I want to visit the town which I spent my childhood in.

次は、関係副詞です。

上の1と2の文は関係副詞でつなぐこともできます。

まず、「関係副詞は、修飾部分の副詞『句』全部を置き換えることができまる」というのを覚えてください。

副詞とは、動詞を修飾している部分です。 上の3の文でいうと動詞は「spent」。その動詞を修飾しているのが「in it」(副詞)です。 (日本語で書けば、「そこで過ごした」の「そこで」の部分が副詞になります) 従って、上の2文をつなげると以下のようになります。

3. I want to visit the town where I spent my childhood.
(「in it」を「where」に置き換えて、2と3をつなげています)

関係副詞が使えないときもある

まず、下の例文の( )に何が入るか考えてみてください。

Argentina is a country ( ) I want to visit.
(アルゼンチンは、私が訪れてみたい国です)

「I want to visit」は「私が訪れてみたい」という意味だから前の「country」(場所)を修飾している。 ということは「where」を入れればいいのでは?

それは間違いです。

なぜか?

では、この問題文を元の2つの文に分けてみます。

Argentina is a country
I want to visit it

上の3との違いは分かるでしょうか?

下の文の「it」は代名詞で、上の「a country」を指しています。 そして、文の要素としては「it」は他動詞「visit」の「目的語」になります。

つまり、この2つの文に副詞(動詞を修飾するもの)の働きをしているパートはありません。 従って、「関係副詞は使えない」んです。

従って、上の問題の( )には、関係代名詞の「which」か「that」、あるいは、「何も入れない(=目的格の関係代名詞の省略することができます)」のいずれかが入ります。

4. Argentina is a country which I want to visit.

関係代名詞と関係副詞の違いは理解できましたでしょうか? 英語試験、受験、TOEICでは、ほんとよく狙われます。 試験では上の問題文のようなどちらかを選ばせる問題がよく出題されますから、正解を導くまでの手順を理解しておいてください。

もし、どちらを選んだらいいか迷ったら、以下のポイントを思い出してください。

「関係詞節について、文が完結していれば関係副詞を、文が完結していなければ関係代名詞を選ぶ」 ここでいう「完結している」とは、文の要素に抜けがないという事です。

上の3の関係詞節「I spent my childhood」は、「S+V+O」で完結しています。なので関係副詞が入ります。 一方、上の4の「I want to visit」は、他動詞「visit」の目的語がなく、完結していません。なので関係代名詞が入ります。

ここで「上の動詞「visit」をどうやって他動詞だと見分けることができるのか」について、疑問をお持ちの人もいることでしょう。 動詞には自動詞と他動詞がありますが、自動詞と他動詞の区別は動詞ごとに覚えるのが一番です。 自動詞か他動詞の見分け方はテクニックでは乗り切ることはできません。 新しい動詞を覚えるときに、その動詞が自動詞なのか他動詞なのかも確認するようにしましょう。

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関係副詞を使いこなそう!注意したい省略の法則

さらに、関係副詞を深く掘り下げてみましょう。 関係副詞は使い方が限定されているため、慣れてしまえばとても便利な構文です。 尚、省略については要注意なので、しっかりマスターしてください。

場所を表す「where」

関係副詞「where」は、場所にまつわるものを説明し、修飾します。

まずは、以下の例文見てください。

This is where Luffy met Zoro for the first time.
(ここは、ルフィーが初めてゾロに会った場所だよ)

本来、「This is place where~」となるはずですが、「place」が省略されてます。 このように先行詞が「場所=place」など、場所だとわかりきっているものがきた場合、省略できます。

その他の「where」の使い方

関係副詞「where」は、実際の場所でなくても使われる事があります。 自分や物事が置かれている位置、つまり、観点(point)、状況(situation, circumstance)、場合(case)、例(example)などを先行詞に取る事ができます。

例えば、point「重点、主要点」は、場所ではないけど、日本語でも「我々は重要なポイントに立っている」というよう「どこかそのようなところにいる」という感覚で使いますね。

では例文見てみましょう。

They were in a situation where emergencies may arise.
(彼らは、非常事態発生の恐れがある状況下にいた)

「状況下に『いる』」という感覚は日本語でも同様に使います。それと同じように考えればいいのです。

時を表す「when」

修飾したいもの(先行詞)が、時間を表すものの場合、関係副詞「when」を使います。

I will never forget the moment when the mountain showed its white summit.
(その山が白い頂を現したこの瞬間を、私は永遠に忘れないだろう)

「when」以下の節(this mountain showed its white summit)は、「the moment」を説明しています。

なお、先行詞が「time」「day」「year」など、明らかに時間を表すものの場合、関係副詞「when」は省略します。

I still remember the day you moved in.
(あなたが引っ越して着た日の事を、まだ覚えていますよ)

本来、「the day」(先行詞)の後ろには関係副詞「when」がありますが、それが省略されています。

あと、「文末に前置詞の「in」があるけど関係副詞の場合、前置詞はいらないんじゃないの?」 なんて思った方もいるかもしれません。 これは「move in=移り住む」と、「move」とペアになってる前置詞なので、ここにあっていいんです。

尚、先行詞が「time」のときは、関係副詞「when」と先行詞「time」のどちらを省略してもいいです。

I still remember when you moved in.
(あなたが引っ越してきたときの事を、また覚えてますよ)

本来「remenber」の後に「the time」があるのですが、それが省略されてると考えてください。

理由を表す「why」

次は、関係副詞「why」です。 この「why」は、先行詞が「reason」のときにしか使われません。

The reason why she is dressed up is to go out today.
(彼女がおしゃれしている理由は、今日デートだからだよ)

尚、関係副詞「why」を使うときは、先行詞の「the reason」が省略されて、こんな風に使われる事が多いです。

This is why I was in late for a meeting.
(こういうわけで、会議に遅れてしまったんです)

I don't know why but I felt so afraid to see them.
(なぜだか理由はわからないけど、彼らに会うのが怖いの)

So that is why you were angry yesterday.
(だから、昨日、あなたがあんなに怒っていたのね)

I wonder why her agent didn't show up last week.
(一体どうして(何が理由で)彼女のエージェントは先週顔を出さなかったのかしら)

Tell the teacher why you bring that to school today. Okay?
(先生にどうして(何が理由で)これを学校に持ってきたのかをちゃんと言うのよ、わかった?)

あるいは、「why」が省略されることもあります。

The reason she love him is obvious. She likes his good looks.
(彼女が彼を好きな理由なんて分かりきってる。彼女は彼の見目のよさが好きなんだ)

先行詞は「reason」しかないので簡単です。 でも、ここで油断は大敵!(特に大学や英語試験を受験するみなさん)

例えば、以下の空欄に何が入るかわかりますか?

The reason ( ) she gave is dubious.
(彼女が与えた理由は、疑わしい)

「reason」があるから「why」を入れたあなたは、敵の罠にはまったも同然です。

正解は、目的格の関係代名詞「which」。

上の問題文を2文に分けてみます。

The reason is dubious.
she gave it.

下の文の「it」は上の文の「The reason」を指しています。 この2文をつなげるためには、「gave」の目的語である代名詞「it」を置き換える関係詞が( )内に入らなければなりません。なので「which」が入ります。

方法を表す「how」

関係副詞「how」の先行詞は「tha way」のみです。 ここで1点注意してほしいことがあります。

関係詞を用いて理由を表すときには、関係副詞「how」か先行詞「the way」のどちらかが必ず省略され、両方同時に使われる事はない

『関係副詞「how」の先行詞が必ず「the way」と決まっている』ときのように「分かり切っている場合」は、省略されます。

This is how he reached the president.
(これが、彼が社長まで登りつめたやり方です)
この例文では「the way」が省略されています。

This is the way he reached the president.
この例文では「how」が省略されています。

まとめ

関係副詞では特に、先行詞との関係で、関係副詞または先行詞のうち、どちらかが省略される事が多いです。 その法則をしっかり覚えておいてください。。

「where」: 先行詞が「place」の場合は、先行詞が省略される
「when」: 先行詞が「day」「year」など明らかに時を表す場合は、「when」が省略される
尚、先行詞が「time」のときは、先行詞か「when」のどちらかが省略される
「why」: 先行詞は「reason」のみ
先行詞あるいは「why」のどちらかが省略される事が多い
「how」: 先行詞は「the way」のみ
先行詞あるいは「how」のどちらかが省略され、同時に使われる事はまずない

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