先行詞に関係なく使えるのがメリット

「関係代名詞は、人が先行詞で主格ならwho、所有格ならwhose、目的格ならwhom(who)、人以外が先行詞で主格、目的格ならwhich、所有格ならwhose」と習ったと思います。 習ってきた事は大事です。覚えておいて損はありません。 誰かが使っているのを、見たり聞いたりするとき、理解するのに欠かせません。 (あと、試験にはやたらと出ますからね)

でも、はっきりいって、自分が使う場合は、もっと簡単に使える便利なやつを使います。 そう、「that」です。 「thatって、アレにもこれにもいろいろ使えたような……」と、ぼんやり思い出してきましたか?

そう、いろいろな関係代名詞の代わりに使えるのが「that」。 今回は、その「that」の使い方について掘り下げていきましょう。 読み終わった頃には、「こんなに簡単でいいんだ!?」とびっくるするはずですよ。

関係代名詞thatの基本的な使い方

関係代名詞thatは、主格、目的格の関係代名詞として使える

つまり、「人が先行詞だった場合のwho、whom(who)、人以外が先行詞だった場合のwhichの代わりに常にthatを使っておけばOK!」ということです。

The woman that works in the bank is my sister's friend.
(銀行で働くあの女性は私の妹の友達です)

I'm selling the computer that I bought in Japan.
(日本で買ったそのコンピューターを売りに出しています)

Yesterday I met a girl that works in the circus.
(昨日、サーカス団で働いている女の子に出会いました)

I bought a new phone that has internet access.
(インターネットも使える新しい電話を買いました)

ただ、何でもかんでも使えるのかというと、そうではありません。

所有格のwhoseの代わりにthatを使う事は出来ません

The man whose(×that) wallet was stolen went to the police.
(財布を盗まれたその男性は、警察へ向かった)

ただ、所有格で関係代名詞を使う場面は非常に少なく、もはや、お決まりのパターンでしか出てきません。 以上が関係代名詞thatの基本です。

目的格の関係代名詞は省略される

さて、上で「目的格の関係代名詞でthatが使える」と書きました。 だた、通常(特に会話では)は目的格の関係代名詞は省略されます。

目的格で使われる関係代名詞の使用頻度として「省略される(使わない!)」が圧倒的に多く、次に「that」。 「who」、「which」、「whom」 (会話においては、絶滅危惧種)が使われる場面は激減しています。

尚、人が先行詞だった場合、目的格の関係代名詞はwhomと習ってきた人もいるかもしれません。 ただ、現在、人が先行詞だった場合の目的格でもwhoを使う事が多くなり、whomはごく限られた場面でしか使われなくなってきたので、通常はwhoを使うようにしましょう。

特にthatが優先して使われる場面

ここまで、whoやwhichに優先してthatを使っていこうというお話をしました。 会話としては、上で説明したことを理解しておけば大丈夫です。 ただ、試験では、これだけでは解けない意地悪な問題に出くわすことがあります。 なので、受験や英語関連の試験を受ける方のために、補足として「特にthatが優先して使われる場合」をご紹介します。つまり、「以下のような例文が出てきたらthatを選べ!」ということです

先行詞が最上級の形容詞だった場合

具体的には、名詞にthe first, the only, the very, the sameなど、非常に強い修飾が付いたときは、thatを使います。

This is the best apple-pie that I’ve ever had.
(これ、今まで食べた中で、最高のアップルパイだよ)

You are the first guy that said so.
(そう言ってくれたのは、あなたが初めてよ)

先行詞にall, no, any, everyなど数量詞がついてる、あるいは先行詞自体がall, noなどの場合

I like all the dishes that mom cooks.
(お母さんの作る料理は、ぜーんぶ好きだよ)←たまに息子が言ってくれる嬉しい一言

What do you want to have for dinner? I’ll cook anything that you want.
(お夕飯、何食べたい? 好きな物、な~んでもつくってあげる)

まとめ

今回は、便利な関係代名詞thatについて見てきました。

thatは、関係代名詞の主格、目的格として使える(人、物、どちらでもOk)ただし、目的格の関係代名詞は省略される事が多い。

これだけ、きっちり覚えておいてください。

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絶対注意!thatが使えない場面もある

前半では、thatが使える場面について見てきました。 ただ、いつでもthatが使えるわけではありません。 今回は、前半の例外を説明します。 例外を覚えてしまえば、あとはとりあえずthatを使えば大丈夫。 ですから、これから説明するする例外をきっちりマスターしてください。

前置詞を前出しした場合

先に、大事な法則を言います。

関係代名詞節の前置詞を前に出した場合、thatは使えません

早速、例文を見ていきましょう。

Mahabodhi is a temple that Buddha attained enlightenment in.
(マハーボディ寺は、仏陀が悟りをひらいたお寺です)

この例文は、thatが使える場合です。 templeが先行詞、thatが目的格の関係代名詞として使われています。(この場合、thatは省略でもOK)

ここで注目してほしいのが、templeの前置詞としてinが使われ、関係代名詞節内に残っています。 話し言葉ではこれでOK。 ただ、フォーマルな文書内で使う場合などは、前置詞を関係代名詞の前に置きます。

Mahabodhi is a temple in which Buddha attained enlightenment.

ここで、上で提示した法則を思い出してください。 前置詞inが前に出て、関係代名詞はwhichに変わりました。 尚、このwhichは目的格ですが省略できませんので注意してください。

非制限用法で使われた場合

はい、のっけから何やらよく分かんない単語がでてきましたね。

「非制限用法」

ここから説明しないと、話は進みません。 非制限用法とは、ようするに「コンマ付の修飾」の事です。

一方、コンマなしで使われている関係代名詞の用法を「制限用法」と言います(はっきり言って、こんな言葉は覚えなくてもいいです。今回の説明の間だけ、使わせてください)

「制限用法=コンマなし」が、先行詞に説明を与えて、ターゲットを制限しているのに対し、「非制限用法=コンマ付修飾」は、ターゲットを制限するのではなく、単に情報を付け加えるという、違いがあります。

「制限用法」

まずは、以下の例文を見てください。

My sister who lives in Sapporo is a picture book writer.
(札幌に住んでいる僕の妹は、絵本作家なんだよ)

まず上の例文に出てきた「僕」には、姉妹が何人かいるというのが前提です。 その中で「札幌に住んでいる(=who lives in Sapporo)妹はね」と、どの姉妹なのかを限定しています。 このように、ターゲットを限定して絞り込むので「制限用法」と言います。

制限用法の例文

They are the people who want to buy our car.
(彼らが私達の車を買いたいと言っている人達よ)

My sister playing a woman whose son was killed in the World war.
(私の姉は第一次世界大戦で息子を亡くした女性の役を演じています)

We had a wonderful meal at the restaurant which Jack recommended.
(ジャックおすすめのレストランでは、素晴らしい料理が堪能できたよ)

「非制限用法」

My sister, who lives in Sapporo, is a picture book writer.

この例文のように、カンマで挟まれて文にねじ込まれた場合は、先行詞を限定しません。 この例文は、「僕の妹は、(あ、そうそう)彼女札幌に住んでいるんだけど、絵本作家なんだ」というニュアンスです。 (あ、そうそう)という感じで、「札幌に住んでいる」という情報を、単に追加しているだけ。

このように、先行詞を他の色々なターゲットから絞り込むはないので「非制限用法」と呼ばれています。

尚、上の例文では文中に挟まれていますが、文末で使う事もできます。

I tried go to Angel falls, which I found quite hard.
(エンジェルフォールに行ってみようと思ったんだけど、すごく大変な事が分かった)

コンマ以前の内容が先行詞となっています。この例文のように、先行詞が一つの単語とは限らないこともあることを覚えておいてください。

ちなみにエンジェルフォールは、ベネズエラにある世界最大落差の滝です。 陸の孤島になってるんで、行くのがすっごく大変らしいです。

非制限用法の例文

My son, who is in year 2,is enjoying his school life in Australia.
(小学2年生の息子は、オーストラリアでの学校生活を楽しんでいます)

The movie, which stars Tom Cruise, was released on last Friday.
(トムクルーズが出演する映画が、先週の金曜日に公開された)

Ellen, who I work with, will go to America next month to see her sister.
(同僚のエレンは来月、妹さんに会いにアメリカへ行くそうよ)

それでは、ここからが本題です。

非制限用法(コンマ付の修飾)では、関係代名詞thatは使えない

非制限用法(コンマ付の修飾)では、目的格の関係代名詞も省略できない

上の2つをしっかり覚えておいてください。

Hunza, which I visited 2 years ago, is a very beautiful valley.
(フンザって、僕は2年前に行ったんだけど、すごくきれいな渓谷なんだ)

The orange, which I bought on Friday, are rotten.
(金曜日に買ったオレンジが腐ってしまった)

The new J.K. Rowling book, which I borrowed from the library, is very interesting.
(図書館で借りてきたJ.K.ローリングの新しい本はとても面白い。)

上の3つの例文に出てくる「which」は「that」にする事はできないし、省略することもできません。

ちなみに、フンザはパキスタンにある渓谷で、風の谷のナウシカの「風の谷」のモデルになったと言われていますよ(そう明言されたことはないようですが・・・)。

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