「be」「get」「come」「go」を比べてみる
「~になる」を表す「become」「be」「get」「come」「go」
まずは「うちの弟、おかあさんより大きくなったのよ」を英文にしてみましょう。
My brother became taller than our mother.
「~になる」を意味する「become」は、中学生で習った基本の動詞ですね。
では問題!「彼のこと、好きになっちゃった」はどう表現しますか?
I have become to love him.
と、してしまった方、ブッブ―――ッ!です。
ここで、「become」は使えません。
その理由は最後まで読んでもらえればわかります。
それでは「~になる」を表す英語の使い分けを詳しく見ていきましょう。
万能選手「become」の弱点とは。
「~になる」の代表選手は、やっぱりbecomeでしょうね。 コアイメージとしては、「少し時間をかけて~になる」という感じです。 「become」の後には、名詞、形容詞、過去分詞が来ます。
例えば、もうお決まりのこんな文。
She became a doctor.
(彼女は医者になった)
「become」の後には、名詞がきています。
My brother became taller than our mother.
(お兄ちゃんはお母さんより背が高くなった)
「become」の後には、形容詞がきていますね。
最後に、過去分詞が来る例を見てみましょう。
I became interested in gardening.
(私、ガーデニングに興味を持つようになったの)
このように「become」は、色々なシーンで使える便利な単語なんですが、ホイホイ使い倒してると、落とし穴にはまることがあるんです。 一番の落とし穴は、「動詞」です。 ここ、本当に大事なポイントなんで、よく覚えておいてくださいね。
becomeの後に、動詞(to do)は置けません。
だから、上で紹介した「I have become to love him.」は、不可なんです。 英語試験の選択肢問題なんかにもよく出てくるので、注意してくださいね。 ここでは「become」の代わりに、「come」「get」など別の動詞を使います。 使い分けは、下で解説します。
まずは、もう一つの落とし穴をみていきます。
「become」は、通常、将来のことを表すときには使いません。
なので、子どもに「大きくなったら何になりたいの?」と聞くときは、「What do you want to become when you grow up?」とは言わないんです。 では、何を使うかと言うと、「be」を使って表します。
将来「~になる」は「be」
上の例文は、将来のことを訪ねている文です。
ですから、以下のようになります。
What do you want to be when you grow up?
答え方は以下のようになります。
I will be a super model!
(スーパーモデルになる!)
あるべき状態「になる」のが「come」
上の「become」の項目で「becomeの後に動詞は来ない」と説明しました。 では、どんな動詞を使うのかというと、「come」「get」「grow」「learn」などいろいろあります。 早速、「come」から見てみましょう。
冒頭で上げた例文「I have become to love him.」は、間違いでしたね。 通常は、「come」を使ってこんな風に表します。
I have come to love him.
「come」は、物事があるべき方向や、前向きに進んでいるときに使います。 「come」の後ろには、動詞(to do)の他に、形容詞も続ける事ができますが、やはり、前向きなイメージで使いますよ。 なお、「~になる」という意味で「come」を使う場合、後に続くのは動詞(to do)、形容詞のみです。名詞や過去分詞はきません。
「come+形容詞」の代表的な使い方が、何といってもこれですね!
When you wish upon a star
Your dreams come true.
名曲「星に願いを(when you wish upon a star)」のラスト一節です。
「星に願えば、あなたの夢は現実になる」。
「素敵だなぁ……、ホントだったらいいのに・・・・」
「come」の反対と言えば「go」だけど
では、「come」のイメージとは反対に、状況が悪い状態「になる」場合は何を使えばいいのでしょうか? はい、ご想像のとおり、好ましくない状況になっていくときは「go」です。 私たち日本人の感覚では、goというと、前向きな感じですがねぇ。 英語では、「go」はある話題の中心から去っていくイメージです。 ですから、自分の思惑や望みから、状況がどんどん遠ざかっていくイメージになります。
I’m going gray.
「私は灰色になっている」じゃありませんよ(なんのこっちゃ!?)。 ましてや、「グレイのコンサートに行く」でもありません。 「白髪になってきている」です。
さて、ここで注意!!
上で「come(~になる)」の後ろには、動詞(to do)と形容詞を置くことができると言いましたが、「go」の後に続けられるのは、「形容詞」のみで、「動詞」は不可です。 「なんでそういうややっこしいことするの」と怒りが湧いてきますが、まぁ、そういう決まりだそうです。 やはり、「go」の後に動詞(to do)が来ると、「go」を「~へ行く」という意味で解釈され、勘違いさせてしまうからでしょうね。
日常会話で頻出の「get」
さて、出てきました。「get」。 実は、「become」と双璧をなす「~になる」界の、ツートップです。 「get」はよく使われるんです。 ですから、「become」と「get」の使い分けは非常に大切ですよ! しっかり覚えてくださいね。
「become」と「get」の違い
「become」の後に続くのは、【名詞、形容詞、過去分詞】で、動詞(to do)は×。
「get」の後に続くのは、【動詞(to do)、形容詞】で、名詞、過去分詞は×。
名詞、動詞(to do)、過去分詞については、明確な棲み分けができていますね。 問題は、後に形容詞が続く場合についてです。 これについても、一般的に棲み分けは出来ているんですよ。
まず、「become」のイメージとしては「だんだんと、時間をかけてなる」。 それに対し「get」のイメージは、「あまり時間をかけずになる」。
また、「become」は状態がその後変わらず、長く続く場合に使われ、「get」は、その後、状況はまだまだ変わっていく場合に使われます。
それでは例文で確認しましょう。
He became famous.
有名になるには、長い積み重ねが必要で、一度有名になると、それはずっと変わりません。(その後、話題の人じゃなくなっても、「かつても有名人」として扱われる)
He got angry.
怒るのに、長年の積み重ねは必要ありませんし、ずーっと変わる事なく怒ってるわけじゃありませんよね。
このように棲み分けがあるのですが、実は、「それ、あてはまらないんじゃない?」という場面もあります。また、一番多いのは、どっちでもよいという場面です。 だた、基本的な概念は覚えておけば、損はありません。
また、「get」は日常会話で多く使われ、「become」は書き言葉でよく使われます。フォーマルな文書では、「become」を使った方がよいという事です。 これで、「become」と「get」の基本的な使い分けの話は終わったんですが、実は、もう一つ、やっかいな問題があります。
先ほど、「~なる」という文脈で使う場合、「get」の後には、名詞は来ないと書きましたね。 理由は、「get」の後に名詞を続けると、「~をもらう」とか「~を手に入れる」という使われ方と、混同しやすいからです。
ですが、日常会話の中では、「get+名詞(~になる」は普通に使ってる地域もあります。 辞書でも「名詞も可」と書かれているものもあります。 「ええ~っ!?どっちやねん!!」ですよね~。 まぁこれも、「基本は×だけど、使っている人もいる」ぐらいに認識しておけばいいです。
まとめ
「~になる」に当たる英単語はまだまだありますが、基本的に、「become」「be」「get」「come」を押さえておけば、自分の言いたい事を最低限伝える分には事足りるでしょう。 それぞれの「単語が持つイメージ」と「後に何が続くか」をまとめておきますので、もう一度頭を整理してみてくださいね。
「become」の後ろには名詞、形容詞、過去分詞は○
一般的に、ある身分になる、ある状態になるという意味で広く使われる。ある程度時間をかけ、その状態に変化していくイメージ。未来の事(将来~になる)をいうときには通常beを使う。
「get」の後ろには形容詞、動詞(to do)は○、名詞は基本×
日常会話でよく使われる。フォーマルな文書では、好まれない。変化に時間がかからず、またその状態も一時的なイメージ。
「come」の後ろには形容詞、動詞(to do)は○
状態が、あるべき状態や、好ましい状態に変化していく場合に使われる。
「go」の後ろには形容詞は○
状態が、好ましくない方へ変化していく場合に使われる。
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「make」「turn」「grow」「learn」の違いとは
「~になる」を表す英語は他にもある
英語で「~になる」を表す代表格である「become」「be」「get」「come」「go」の使い方については上で解説しましたが、ここでは、もっと細かなニュアンスを伝えたいときの別の言い回しをご紹介します。 それでは、ニュアンス別に「~になる」の意味を持つ単語を見ていきましょう。
「make」(「~になる」素質がある)
「~の役割を果たすようになる」という意味合いを持ち、そうなるだけの素質がある事を示します。
She will make a great super model.
「She will be a great super model.」とも言い変え可能ですが、makeを使う事で、「その素質がある」と言いたい気持ちを、よりはっきり伝えられます。 例えば、小さな女の子がばっちりファッションを決めて、めっちゃドヤ顔で歩いてるときありませんか?(ないですか? 我が家ではしょっちゅうあります)
そんなとき周りの大人が、「あの子、将来はすっごいスーパーモデルになるぜ!」なんて言ったりしますね。 本当にスーパーモデルになるかならないかより、「なる素質がある」に重きをおいたニュアンスです。 こんなとき、「be」より「make」を使うと、感じがでます。 また、こんな言い方もしますね。
You will make a good wife.
(あなたは、いい奥さんになるでしょうね)=(いい奥さんになる素質があるね)
尚、「~になる」という意味で使うの時は「make」の後に来るのは、名詞のみです。
「turn」(状態変化して「~になる」)
「別の状態に変わってしまった」事を意味します。 「turn」の持つ語感のとおり、くるっとひっくり返って、まったく別のものになったというイメージですね。 あまり、望ましくない方に変わってしまったというニュアンスでも使われますよ(必ずしも、悪い意味ばかりで使われるわけではありません)。
Milk has turned sour.
(牛乳がすっぱくなってしまった)すなわち(牛乳がくさってしまった)ですね。
また、宗教が変わる(改宗)を表現するときも、よく「turn」が使われます。
He turned Christian.
(彼はキリスト教徒になった→キリスト教に改宗した)
このときは、彼は元々、別の宗教に属していた事が前提になっています。 「turn」は、ある状態からある状態に変化して「~になる」という意味あいがあるからですね。
そして、「turn(「~になる」の意味のとき)」の後に来るのは名詞、形容詞です。
なお、変化した結果として、「~になった」と結果に重きを置くときは、「turn into + 名詞」という使われ方もしますよ。
The frog turned into a prince!
(カエルは、王子さまになりました!)
「grow」(だんだん「~になる」)
やや格式的な言い方です。 状況が次第に変化して「~になる」という意味合いを持ちます。
The eastern sky was growing brighter.
(東の空が、だんだん明るく輝いてきました)
「~になる」という意味で使う場合、「grow」の後には名詞、形容詞だけでなく動詞(to do)も置くことができます。 ただ、この不定詞の形が出てくるとやっかい。 ちょっと意味を勘違いしやすいので注意してくださいね。
You will grow to love her.
「あなたは大きくなって、彼女を好きになるだろう」でも、「あなたは彼女を愛するために成長するだろう」でもありませんよ。 正解は「あなたはだんだん彼女を好きになるだろう」です。
また「成長して(大きくなって)~になる」は、「grow (up) to be~」です。
She has grown up to be a beautiful woman.
(彼女は成長し、美人になった)
上の「grow+動詞(to do)」と「grow (up) to be~」の違いをしっかり覚えておいてください。
「learn」(~ができるようになる)
「~になる」ではありませんが「~ができるようになる」の表現もついでに覚えておきましょう。 まず、以下の英文をご覧ください。
I came to swim last year.
この例文の意味は、「私は去年、泳げるようになりました」となります。 でも、普通は「去年泳ぎにきました」と訳すと思います。 文脈にもよりますが、この英文で「come」を使うと誤解を与える可能性大です。 こんなときは「learn」を使います。
I learned to swim last year.
「learn to do」で「~ができるようになる」はお決まりのイディオムです。 ここで、「あれ?」と思った方もいるかもしれませんね。 上の例文は「私は去年、泳ぎを習いました」じゃないないの? えっとですね、これはダメではないけど、ベターでもないんです。
「learn」は、「学ぶ、習う」という意味よりも、その経験を通して何かを習得するという「結果」に重点が置かれた言葉なんです。
ですから、英語での会話中、「I learned to swim last year.」と、相手が言ったら、「去年、泳ぎを習った」はなく、「去年、泳げるようになった」という意味で使ってます。
まとめ
いや~、日本語って便利ですね~。 こんだけの違いを、全部、「~になる」で済ませられるんですから。 なんて言っててもしょうがないので、それぞれの動詞の後に続けられる品詞と、それぞれの使い分けをまとめました。
makeの後ろは名詞
「~になる」素質がある
turnの後ろは名詞、形容詞
状態変化して「~になる」
growの後ろは名詞、形容詞、動詞(to do)
だんだん「~になる」(やや格式的)
learnの後ろは動詞(to do)、名詞
~ができるようになる
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